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Welcome to FFAG・DDS

エフエフエージー・ディーディーエス研究機構

より質の高い癌治療システムの開発を目指して!

当研究機構ではNEDO17年度「健康安心プログラム」の事業委託を受け、
「次世代DDS型悪性腫瘍治療システムの研究開発」
を行っています。



機構理事長あいさつ
柴田徳思
(平成18年1月)

     「技術研究組合エフエフエージー・ディーディーエス研究機構の発足にあたって

 近年、癌治療の分野で放射線の役割は高くなってきています。治療中の患者への負担や治療後の生活の質を考えると、治療成績が同じなら放射線治療が、より好ましい治療法だといえます。ガンマ線やX線を用いた伝統的な治療法に加え、ガンマナイフやサイバーナイフなど、より高度な治療法が開発されています。また、陽子線や重粒子線による治療法が多くの癌に適用されてきています。粒子線治療では正常細胞に対する照射を出来るだけ小さくするために、スポットスキャンニングなどの開発が続けられ、更なる改善が進められている状況です。

 これらの方法は、放射線を用いていますが、本質的に固形癌を摘出する外科療法と同じ治療法といえます。癌の中には正常組織の中へ浸潤するような型のものがあり、このような癌に対しては、外科療法や従来の放射線療法では治療が困難です。癌組織だけに効果を及ぼすような治療法の開発が望まれます。一つの方法は免疫療法で、癌治療に有効な免疫を高める治療法が開発されると、様々な種類の癌に適用可能で有力な治療法となると思われます。

 癌組織だけを目標にして治療を行うもう一つの方法に、ホウ素中性子捕捉療法(BNCTがあります。これは、熱中性子反応 [10B(n,a)7Li反応] を利用するもので、癌組織に10Bを送り込む薬剤を服用した後に、患部を熱中性子場の中に置いて、照射することにより癌組織の中で発生したa線やLi線が癌細胞を破壊することで、治療を行う方法です。a線やLi線が生体組織に対する生物学的効果の非常に大きい事を利用しています。この方法は熱中性子場を利用する必要性から現状では原子炉を用いてのみ行われています。

 また、最近の研究では、抗癌剤とボロン化合物を含んだ小包体を癌細胞に付けて10B(n,a)7Li反応を用いて癌細胞壁を壊し抗癌剤を癌細胞へ送り込む方法の開発が計画されています。このような方法で癌細胞を破壊する事により免疫力を高める可能性も指摘されています。癌組織にホウ素を含んだ薬剤を効率的に送り込む方法と熱中性子を病院の中で発生させる方法の開発が出来れば、非常に有効な癌治療法となる事が予想できます。

 エフエフエージー・ディーディーエス研究機構では、このような夢の治療法の開発のために、加速器開発に携わる研究者と薬剤を送り込むための開発を行う医療分野の研究者が手を組んで開発を進めることを目的としています。開発を着実に進めていくために、各方面のご理解とご協力を宜しくお願いいたします。